私たちの体は口から摂取した食物を一時的に胃に蓄え、消化酵素と胃液によ って消化します。
胃液は強塩酸である胃酸が主成分です。胃はこの強力な酸である胃酸から自身を守るために粘液を分泌し、表面に粘膜による保護層を形成しています。
この胃粘膜による保護は粘液の分泌量が減少したり、胃酸の分泌が過剰になることによって障害を受けます。
このように粘膜による胃の保護作用が崩れていくと、やがて胃に炎症が生じます。
この胃の炎症を胃炎と呼んでいます。
胃炎とは、わかりやすく言い換えると胃の壁に傷がついている状態です。
この胃の壁にできた傷を胃酸がさらに刺激することによって「傷口に塩を塗る」ことになり、みぞおちのあたりに強い痛みが起こります。
この炎症がさらに進行すると、傷口が深くえぐれて潰瘍になります。
胃潰瘍の症状にはえぐれた傷口の深さによって程度に幅がありますが、ひどい場合には胃の運動を司っている筋肉の層にまで穴が開く場合もあります。
ではどのような原因で粘膜による胃の保護作用が損なわれていくのでしょうか。
1つの原因は精神的・身体的なストレスです。これらのストレスは胃の運動をコントロールしている自律神経系を介して胃に障害を与えます。
また2つ目の原因として、タバコやコーヒー、とうがらしといった刺激物の採り過ぎが胃に対してダメージになることも考えられます。
さらに3つ目の原因として、ヘリコバクターピロリと名付けられた細菌が胃に常駐し、胃潰瘍の形成を悪化させることも近年明らかになっています。
ヘリコバクターピロリ菌の感染率は、胃潰瘍のあるなしにかかわらず、50歳以上の日本人で70-80%程度と言われています。
多くの人はこの菌が胃に感染していても自覚症状はありませんが、ストレスや暴飲暴食が引き金となって胃炎から胃潰瘍へと症状が進行することも十分に起こりえることです。
したがって胃を健康に保つためには、過度のストレスを避けるための気分転換や十分な睡眠、そして規則的な食習慣を心がけることが重要です。
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